カテゴリ:掌編・お題



雪がふっとやんだ。かたくざくざくとしていた靴の裏の感触がさらりと少しやわらかいものに変わる。途端にレイヴンは気が抜けて、近くにあった手ごろな大きさの岩に倒れこむように腰かけた。 「つめた……」...
忘れられない、と言った。いつか薄れるときがくるまで、ずっと側にいようと思っていた。けれど、なにも置いていけない、と伏せた瞳でかたく告げた。 「俺は、残っちまったから、だから、全部持っていかなくちゃ」 ――どこに? ぜんぶ呑み込んで、持っていったものひとつひとつ数えていくの? うっかり聞いてしまいそうになって、息をつめた。...
帰り道、路地裏に丸まった猫をみつけた。じっと見つめていると目が合って、しばらくすると足元にすり寄ってきた。そのまま歩き出すとついてくるので、とうとう家まで一緒に帰ってきてしまった。 「……そういうわけなんだけど」 レイヴンは目を丸くして、一度手を洗ったあと玄関のほうに近づいてきた。ちょうど夕食のお皿を運んでいたところだったらしい。...
息をひそめて待っている。気配は迷って、ためらって、それでもじっと覗きこもうとしている。今目を開けば、手を伸ばせば、一目散に離れてしまうのだろう。だから、待つ。力任せに抱き寄せて喰らいつくす夢なら何度も見たのだから。頬にぴと、と触れた指がとても熱い。まだ、待つ。少し伸びた髪がぱらりとおちて、肌をくすぐる。間近に迫られたまま、それでも動かず待っている。けれど待てども待てども何も起こらず、耐えかねて目を開こうと思ったそのとき、柔らかな感触がふっと唇をふさぐ。それは一瞬のことだった。ぴゅっとそよ風が吹き抜けたかのように。我に返ってようやく目を開けたころには、隣ですやすやと寝息を立てている。 「……してやられたわ」 本気の勝負は、なかなか難しいものらしい。
初めて書いた現パロレイリタです。 お盆の日を過ごすおっさんとリタっちです。
【レイヴンからリタの場合】 愛してると突然言われた。相手が自分の目の前を通り過ぎる一瞬の出来事に当然反応なんて出来るはずもなく、目を見開いて颯爽と去っていく背中を見送った。…なにがしたいんだ! https://shindanmaker.com/587661 診断メーカーさんを元に書いたSSです。
Twitterで開設しているお題箱にいただいたお題で書いたものです。 投稿してくださった方、ありがとうございました。
Twitter診断の「CP創作お題をアンケで決める」で書いたお題その3です。 4つのうち3つが同票になったので3つとも書きました。 その3は凜々の明星の人たちが出てきます。
Twitter診断の「CP創作お題をアンケで決める」で書いたお題その2です。 4つのうち3つが同票になったので3つとも書きました。 その1とは打って変わってほのぼの甘いと思います。
Twitter診断の「CP創作お題をアンケで決める」で書いたお題その1です。 4つのうち3つが同票になったので3つとも書きました。 お題のとおり、ちょっとそういう雰囲気な上に甘々でもないのでご注意です。

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