ふたりぼっち

貴方はレイリタで『ふたりぼっち』をお題にして140文字SSを書いてください。 http://shindanmaker.com/375517 


その半透明な盤が浮かんでいるあいだは、ほんとうに時間が止まっているような気がした。そんな動かない時間の中で、真剣な顔でノートになにやら書き込む彼女の睫毛をみつめていた。

 

(……全部とまってしまえばいいのに)

 

そんな馬鹿なことまで考えてしまう。もうそんな現実的でないことを願う歳ではないのに。それでも時折、そんなばかげたことに身をゆだねたくなる。

 

ふと彼女が顔をあげた。なにか言いたげな瞳をしていた。しかし何も語ることはなかった。まっすぐ向けられた瞳に、胸の奥がずくんと音をたてる。そこから何かを感じ取ろうとして、でもできなかった。自分よりもずいぶん年若い少女であるのに、その瞳は太古の星空のように深くて吸い込まれそうで、一瞬自分が誰なのかさえ頭の中からかき消されそうだった。

 

そのまま盤をはさんでただ見つめあっていた。こぼれそうになった言葉をぐっと噛みしめてこらえた。なにも言葉が紡がれることはなかった。しかし確かに世界はふたりだけだった。

 


あとがき

 

きっと二人はメンテナンスのときすごく静かなんだろうというのは個人的な妄想です。しかしそうした静寂の中でふたりともいろいろなこと考えて悶々としてるのがおいしいです。